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変流器(CT)の役割とは?CT比の計算と「二次側を開放してはいけない」理由

公開日:2026-10-24 文:けーやん

工場やビルの受電設備では、数百〜数千Aという大きな電流が流れています。その電流を、メーターや保護継電器はどうやって測っているのでしょうか。

答えは変流器(CT)です。CTは、大電流をそのまま計器に通すのではなく、決まった比率で5Aなどの小さな電流に変えて計器へ渡します。この記事では、CTの仕組みとCT比の計算、そして現場で絶対に守るべき「二次側を開放しない」ルールの理由まで順番に解説します。

ずんだもんずんだもん
1,000Aなんて電流、どうやって測るのだ? メーターが溶けちゃいそうなのだ。
玄野武宏玄野武宏
そのまま測ったら大変なことになる。だから、CTで「小さく写し取る」んだ。

▲ この記事の元になった本編動画です。

CTは大電流を「小さく写し取る」装置

太いケーブルを囲んだ変流器が、大電流に比例した小さな電流を電流計へ送るイメージ

電流を分けるのではなく、比例した電流を作る

CTは、鉄心に巻いたコイルを使います。一次側(測りたい大電流の線)に電流が流れると鉄心に磁束ができ、その磁束によって二次側のコイルに電流が流れます。変圧器が電圧を変えるのと同じ電磁誘導のしくみで、電流を変えているわけです。

ここで大事なのは、本線の電流を分けて取り出しているのではないということです。本線の電流はそのまま流れ、CTはそれに比例した小さな電流を、電気的に切り離された二次側に作っています。

ずんだもんずんだもん
電流を分けて持ってくるんじゃなくて、写し取ってるのだ!
玄野武宏玄野武宏
そう。だから計器側は、高圧の本線と切り離された安全な回路で測れるんだ。

CT比の計算は「比率を掛けるだけ」

CTには「300/5A」のようなCT比が書かれています。これは、一次側に300Aが流れると二次側に5Aが流れる、という意味です。

例題:300/5AのCTで、二次電流が4.5Aのとき

このように、二次側の小さな電流に比率を掛けるだけで、直接測れない大きな一次電流がわかります。

ずんだもんずんだもん
4.5に60を掛けて270A! かけ算だけなのだ!
玄野武宏玄野武宏
そうだね。「一次÷二次」で比率を出して、二次電流に掛ける。これだけ覚えておけばいいよ。

計器用CTと保護用CTは、考え方が逆

同じCTでも、何に使うかで「大電流が流れたとき」の設計の考え方が逆になります。

計器用CT:ふだんの正確さが大事

電流計などにつなぐ計器用CTは、ふだんの電流を正確に測ることを重視します。事故のような大電流が流れたときは、鉄心が早めに飽和(それ以上磁束が増えない状態)するようにして、二次側の電流が増えすぎないようにし、計器を守ります。

保護用CT:事故電流を伝え続けることが大事

保護継電器につなぐ保護用CTは逆です。事故のときに遮断器を動かすため、定格の何倍もの事故電流が流れても、その大きさを継電器へ伝え続けなければなりません。そのため、大電流でも飽和しにくい設計になっています(どこまで正しく伝えられるかは、仕様の過電流定数で決まります)。

ずんだもんずんだもん
同じCTなのに、わざと飽和させたり、飽和させなかったりするのだ?
玄野武宏玄野武宏
目的が違うからね。計器用は「計器を守る」、保護用は「事故を知らせる」。役割から考えれば、逆になる理由がわかるよ。

通電中に二次側を開放してはいけない理由

CTで一番大事な安全ルールが、通電中に二次側を開放してはいけないというものです。計器を外すときは、先に二次側を短絡(ショート)させます。

CTの一次側は「電流源」

CTの一次側に流れる電流は、本線の負荷で決まります。二次側がつながっていてもいなくても、一次側には負荷電流が流れ続けます。この性質を「電流源」と考えると、理由が見えてきます。

二次側を開くと何が起きるか

  1. ふだんは、二次電流が作る磁束が、一次電流の磁束を打ち消している
  2. 二次側を開くと、この打ち消しがなくなる
  3. 一次電流がすべて鉄心を磁化する電流になり、鉄心が飽和して異常に発熱する
  4. 二次側に高い電圧(条件によっては数千V)が出て、絶縁破壊や感電の危険がある

VTはその逆。短絡してはいけない

計器用変圧器(VT)は、二次側に決まった電圧を出す「電圧源」として働きます。そのため、VTは二次側を短絡してはいけません。大きな電流が流れて焼損してしまいます。

CTは電流源だから開放が危ない、VTは電圧源だから短絡が危ない。この性質で考えれば、丸暗記しなくても、どちらが危険かがわかります。

ずんだもんずんだもん
CTは開けちゃダメ、VTはショートさせちゃダメ。正反対なのだ!
玄野武宏玄野武宏
そう。現場で計器を外すときは、CTなら必ず先に二次側を短絡する。これは命に関わるルールだよ。

零相変流器(ZCT)の種類

地絡(漏電)を見つけるためのCTが、零相変流器(ZCT)です。行きと帰りの電流の差、つまり漏れている電流を検出します。形は大きく3種類です。

すでにあるケーブルに後から取り付けるときは、ケーブルを外さずに済む分割貫通形が便利です。

ずんだもんずんだもん
パカッと開いて挟めるなら、工事が楽なのだ!
玄野武宏玄野武宏
現場の強い味方だね。地絡と漏電の違いは、別の記事でくわしく解説しているよ。

よくある質問

変流器(CT)についてよくある疑問をまとめました。

Q. CT(変流器)は何のためにあるのですか?

A. 数百〜数千Aの大きな電流を、計器や保護継電器で扱える5Aなどの小さな電流に変えるためです。大電流をそのまま計器に通すと、計器が大きく高価になり、感電の危険も増えるからです。

Q. CT比300/5Aで、二次電流が4.5Aのとき一次電流はいくつですか?

A. 270Aです。300/5AのCTは一次電流を60分の1にして二次側に出すので、二次電流4.5Aを60倍すると、一次電流は270Aと求められます。

Q. なぜ通電中にCTの二次側を開放してはいけないのですか?

A. CTの一次側には負荷電流が流れ続けるため、二次側を開くと、ふだん打ち消し合っている磁束がなくなり、一次電流がすべて鉄心を磁化する電流になるからです。鉄心が過熱し、二次側に高い電圧が出て、絶縁破壊や感電の危険があります。計器を外すときは、先に二次側を短絡します。

Q. 計器用CTと保護用CTは何が違うのですか?

A. 大きな電流が流れたときの考え方が違います。計器用は、ふだんの電流を正確に測ることを重視し、事故のような大電流では早めに飽和して計器を守ります。保護用は、事故電流の大きさを継電器へ伝え続けるため、大電流でも飽和しにくい設計になっています。

Q. ZCT(零相変流器)の種類は?

A. 巻線をまとめて樹脂で固めた巻線形、ケーブルを穴に通す貫通形、鉄心が2つに分かれて既設のケーブルを挟み込める分割貫通形があります。分割貫通形は、ケーブルを外さずに後から取り付けられます。

まとめ|CTは電流源。二次側を開けば高電圧が出る

ずんだもんずんだもん
CTを見たら「二次側は開けない」。もう忘れないのだ!
玄野武宏玄野武宏
理由がわかっていれば、現場で迷わないよ。安全第一でいこう。

▶ 動画でも解説しています:【一種電工】変流器CTの役割と安全な取扱い / 関連記事:短絡と地絡の違い / 電学チャンネルを登録する