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短絡と地絡の違いとは?漏電との関係と、それぞれを止める保護装置

公開日:2026-10-24 文:けーやん

「短絡」「地絡」「漏電」。どれも電気の事故を表す言葉ですが、似ているようで中身は違います。現場でも混同されやすく、取り違えると、守るための装置選びを間違える原因にもなります。

結論から言うと、違いは電気がどこへ流れてしまうかです。短絡は「電線どうしの近道」に、地絡は「大地」に電気が流れる事故です。この記事では、その違いを電気の通り道から整理し、それぞれを止める保護装置まで順番に見ていきます。

ずんだもんずんだもん
ショートも漏電も、どっちも「電気が変なところに流れる」じゃないのだ? 何が違うのだ?
玄野武宏玄野武宏
「どこへ流れるか」で分けると、すっきりするよ。まずはショート、つまり短絡から見ていこう。

▲ この記事の元になった本編動画です。

短絡(ショート)は「負荷を飛ばした近道」

左は電球を飛ばして電線どうしがつながる短絡、右は洗濯機から漏れた電気が大地を通って変圧器へ戻る地絡のイメージ

電流は「電圧÷抵抗」で決まる

回路に流れる電流は、オームの法則で電流=電圧÷抵抗です。ふだんは家電などの負荷が抵抗になって、流れる電流をちょうどよい大きさに抑えています。

ところが短絡すると、負荷を飛ばして電線どうしが直接つながります。残る抵抗は電線のわずかな抵抗だけなので、割り算の答え、つまり電流が一気に大きくなります。

大電流は、熱と火花になる

電線で出る熱は電流の2乗に比例します。短絡の大電流は、一瞬で電線を熱くし、激しい火花を出し、被覆を焼いてしまいます。100Vのコンセントだけでなく、DC24Vのような低い電圧でも、電源の能力が大きければ同じことが起きます。

ずんだもんずんだもん
じゃまものがいなくなると、電気が一気に押し寄せるのだ! 低い電圧でも油断できないのだ!
玄野武宏玄野武宏
そう。だから短絡は「量」の事故なんだ。次の地絡は、行き先が違う事故だよ。

地絡は「電気が大地へ流れる」事故

マヨネーズのボトルで考える

家の電気回路を、1本のマヨネーズのボトルだと想像してみてください。正常なときは、中身(電気)はボトル(電線の被覆や機器の外箱)の内側に守られています。

地絡は、このボトルの横に穴が開いた状態です。中身が穴から外へ押し出されてしまいます。被覆の傷や劣化、水の入り込みなどが、この「穴」にあたります。

漏れた電気は、変圧器へ戻ろうとする

ここが一番大事なところです。漏れた電気は、その場にたまるわけではありません。電柱の変圧器の低圧側は、B種接地工事で大地とつながっています。そのため、漏れた電気は大地を通って変圧器へ戻ろうとします。

もし、その帰り道に人の体があれば、電気は体を通って大地へ流れます。これが感電です。地絡が怖いのは、目に見えない帰り道が、人の体を通ることがあるからです。

ずんだもんずんだもん
こぼれた電気が、ぼくの体を通って帰ろうとするのだ……? こわいのだ……。
玄野武宏玄野武宏
だから金属の外箱にはアース(接地)をつないで、漏れた電気が人より先に、抵抗の小さいアース線を通るようにしているんだ。

地絡と漏電の違い

「地絡」と「漏電」は、重なる部分が大きい言葉です。

漏れた電気が大地へ流れれば、それは地絡です。「漏電」は起きている状態、「地絡」は電気の行き先に注目した呼び方、と考えると整理しやすくなります。

ずんだもんずんだもん
漏れるのが漏電で、大地に流れるのが地絡。見ている場所が違うだけなのだ!
玄野武宏玄野武宏
そういうこと。言葉の違いがわかったら、次は止め方の違いだね。

事故の種類ごとに、止める装置が違う

「とりあえずブレーカーを付ければ安心」ではありません。短絡と地絡では電流の性質が違うので、止める装置も違います。

短絡(過電流)を止める

短絡のような大きすぎる電流は、配線用遮断器(いわゆるブレーカー)やヒューズが切ります。高圧の設備では、過電流継電器が異常を見つけて、遮断器に「切れ」と指示を出します。

地絡(漏電)を止める

地絡は、漏れる電流が小さいこともあり、電流の大きさだけでは見つけられません。そこで低圧では漏電遮断器が、行きと帰りの電流のわずかな差から漏れを見つけて回路を切ります。高圧では地絡継電器が地絡を検出します。

配電線は、一時的なトラブルなら自動で送り直す

街の配電線では、鳥や木の枝が触れるなどの一時的なトラブルで回路が切れたとき、しばらくしてから自動で送り直す仕組み(再閉路)が使われています。原因が消えていれば、そのまま電気が戻ります。

ずんだもんずんだもん
ブレーカーは1種類じゃなかったのだ?
玄野武宏玄野武宏
そう。「量が多すぎる」を見るのが配線用遮断器、「漏れている」を見るのが漏電遮断器。見ているものが違うんだ。

よくある質問

短絡と地絡についてよくある疑問をまとめました。

Q. 短絡と地絡の一番の違いは何ですか?

A. 電気がどこへ流れてしまうかの違いです。短絡は電線どうしが負荷を通らずにつながり、ほとんど抵抗のない近道に大電流が流れる事故です。地絡は、電気が本来の回路から外れて大地(アース)へ流れる事故です。

Q. 地絡と漏電は同じものですか?

A. 重なる部分が大きい言葉です。漏電は絶縁が悪くなって電気が本来の通り道から漏れることを指し、漏れた電気が大地へ流れれば地絡になります。家庭では漏電と呼ぶことが多く、技術的には地絡と呼ぶことが多い、と考えると整理しやすいです。

Q. 短絡はなぜあんなに大きな電流になるのですか?

A. 電流は電圧÷抵抗で決まるからです。短絡では、本来電気を使う負荷(家電など)を通らずに電線どうしがつながるため、回路の抵抗がほとんど電線だけになり、電流が一気に大きくなります。

Q. 短絡と地絡では、守る装置が違うのですか?

A. 違います。短絡のような大きすぎる電流(過電流)は配線用遮断器やヒューズ、高圧では過電流継電器と遮断器で切ります。地絡は電流が小さいこともあるため、漏れを検出する漏電遮断器や、高圧では地絡継電器を使います。

Q. 低い電圧なら短絡しても安全ですか?

A. 安全とは言えません。DC24Vのような低い電圧でも、電池や電源の能力が大きければ、短絡すると大きな電流が流れて電線が熱くなり、発火することがあります。

まとめ|違いは「電気がどこへ流れるか」

ずんだもんずんだもん
ショートは近道、地絡は大地。流れる先で分ければ、もう迷わないのだ!
玄野武宏玄野武宏
次にコンセントにプラグをさすとき、電気がちゃんと「ボトルの中」におさまっているか、思い出してみてね。

▶ 動画でも解説しています:【二種電工】短絡と地絡の違い / 電学チャンネルを登録する